臨床試験管理センターのご案内
治験とは
普段私たちが使用している「くすり」はいったいどのようにして誕生するのでしょうか。
製薬会社などにより日々研究・開発される新しい「くすり」を、病院等の医療機関で私たちが利用できるようになるためには、その「くすり」についての効き目や安全性を製薬会社などが国(厚生労働省)に申請し、審査され、承認をしてもらわなければならないことが法律で決まっています。
その承認をしてもらうための申請に必要な資料を作成するために実施される臨床試験を「治験」といいます。
治験では「くすり」が人に対して本当に安全なのか、有効なのかを確かめる為に、健康な方々や対象疾患をもつ方々に実際に使用していただきます。
よって使用していただく方々の倫理的な側面を最大限に守らなければなりません。その上で「くすり」の効き目や安全性を科学的な方法で正確に調べる必要があります。そのため治験の実施に関しては厳しいルールが決められています。
当院では、治験に携わる医師および臨床試験管理センターが中心となり、患者さんの人権と安全性に最大限の配慮をしたうえで治験を実施しております。
平成20年度の治験実績は、27課題、約160名の患者さんに参加していただきました。
治験実施体制
治験を実施するにあたっての院内の体制は次の通りです。
治験責任医師
治験の実施と治験に関する医療上の行為と判断のすべてについて責任を有しています。ヘルシンキ宣言、臨床試験の実施の基準(GCP)、ICH調和ガイドライン(日米欧での新医薬品の承認審査関連規制の調和)、厚生労働省令、その他のガイドラインに従い、慎重に治験を実施します。
臨床試験管理センター
臨床試験管理センターは、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、臨床心理士、事務を含む12名で構成されています。製薬会社や患者さん、治験に携わる医師との連絡調整の窓口となります。
治験コーディネーター(CRC: Clinical Research Coordinator)
専任の臨床試験管理センターのメンバーで、医療スタッフの中心として、患者さんの安全を守りながら適切に治験が行われるように調整を行います。現在、薬剤師3名、看護師2名、臨床検査技師1名のスタッフがおり、治験の開始から終了までを全面的にサポートをしております。患者さんからの相談も随時受け付けております。
治験審査委員会
臨床試験管理センターとは別に、科学的、倫理的見地から治験実施の妥当性を審査する独立した委員会です。
院内委員10名のほか院外委員として学識経験者、法律家を迎え、計12名で構成されています。毎月1回定例で年12回開催されています。
臨床試験管理センター紹介
センター長より
はじめに
臨床試験管理センター長 横地正之(神経内科兼務)
2009年11月
研究によって発見された物質が生化学実験や動物実験を経て病気や健康維持に有用性が予測され、安全性が確認されたものが臨床に使われるようになることは医学の発展に貢献することになります。ただし新薬の人への使用は安全性の点で慎重でなければなりません。開発の最終段階で健康ボランティアに対する試験を経て、実際に該当患者さんに参加して頂いてその安全性と有用性の確認の試験をします。開発者(製薬会社)はデータを国の機関へ提出して、承認を得たものが「くすり」として誕生し供与されます。このプロセスを「治験」といいますが、試験には高い倫理性が求められます。そのため「医薬品の臨床試験の実施基準」(GCP)規則を遵守して行われます。病院に依頼のあった臨床試験について患者さんの人権を守り、安全性を図りながら実施管理するのが臨床試験管理センターの役目です。病院医師にとって有効性が期待される先端治療に参加出来ることは大きな励みとなります。担当医師は「治験責任医師マニュアル」を遵守してこれに当たり、センターは実施に必要な諸事項について万全の支援と管理を行います。
荏原病院ではそれまでの治験事務局から平成18年10月に院長直属の臨床試験管理センターとして充実をはかりました。センター事務室を拠点に治験専用診察室を設けて外来患者さんへの対応をしています。治験コーディネータ(CRC)6名、事務職1名とパート臨床心理士2名がセンター専任として機能しています。同時に薬剤管理等は薬剤科、検体検査の施行管理は検査科、画像データについては放射線科など院内関連各部所の協力を得て臨床試験の一元管理を行っています。CRCは治験依頼者−治験担当医師−被験者(患者さん)の間に立って臨床試験を安全に、円滑に進める上で重要な職務を担っています。そのため研究会・研修への参加・発表、日本臨床薬理学会認定CRC取得(現在当センターでは3名)など常に自己研鑽に努め、向上を目指しています。
これらを通して当センターは、いかなる煩雑な難しい治験にも、国際共同治験にも対処する信頼される臨床試験を行っています。昨今、本邦の治験の空洞化が指摘されています。そのことは日本の医療の質にも大きな影響が懸念されます。それに与する訳にはいきません。今後とも中堅病院における信頼性の高い臨床試験の役割を担うためセンター一丸となって活動します。
臨床試験管理センター構成
| センター長 | 横地 正之 | 医師・神経内科公社医員 |
|---|---|---|
| 副センター長 | 関根 万里 | 医師・皮膚科部長 |
| 越田 晃 | 薬剤師・薬剤科長 | |
| 事務局 | 薬剤師(1名) | |
| センターCRC | 看護師(2名)、薬剤師(1名)、臨床検査技師(1名) *日本臨床薬理学会認定CRC 3名含む |
|
| 臨床心理士 | 2名 | |
| 事務 | 1名 | |
患者さんへ
医師や研究者だけでは新しい「くすり」を世に送り出すことはできません。皆様一人一人の協力によって得られた検査結果や「くすり」の効果などの貴重なデータが、新しい「くすり」を生み出すためには必要になります。
現在、世界中で様々な医薬品が使用されておりますが、それらも一人一人の協力があった上で誕生してきた薬なのです。
治験は病気で苦しむ人たちの治療のために、よりよい「くすり」が提供されるために必要な試験です。現在使われている薬も、こうした治験をおこなって生まれたものです。
現在実施中の治験
当病院では現在下記の疾患を対象とした治験を行っています。ご関心のある方は、担当医師又は臨床試験管理センターにおたずねください。
<対象となる疾患>
-
神経内科
- パーキンソン病
- レビー小体型認知症
- アルツハイマー型認知症
- 再発性多発性硬化症
-
精神科
- アルツハイマー型認知症
*上記治験に関して、参加基準に合わない場合や予定の人数に達していた場合は、治験に参加いただけないことがあります。
もし、治験協力依頼を受けましたら・・・
当院におきまして、治験の目的にかなう症状の患者さんに、治験への参加をお願いすることがございます。その場合、医師と治験コーディネーターからその治験の内容について、充分な説明をさせていただきます。
当然のことですが、治験に参加されるかどうかは、患者さんご自身の自由意志で決められます。治験に参加していただいている途中でも中止することは可能です。
参加を断ったからといって、医師と気まずくなることや、治療に支障がでるということは、一切ありません。引き続き患者さんに対して最良の治療を続けますのでご安心ください。
その他、不明な点は、遠慮なく臨床試験管理センターへご相談ください。
●問い合わせ先
荏原病院臨床試験管理センター
電話番号 代表03-5734-8000 内線2463
9:00〜17:00(月〜金)

